CATFISH RECORDS

★母国オーストリアとドイツを行き来しつつ活躍している新世代のトランぺッター：サイモン・プレッツェネーダー(1987年オーストリアのオーバーエスターライヒ州生まれ、ニューヨークのマンハッタン音楽学校に学ぶ)の、サード・アルバムとなる本盤は、人気ピアニスト：ダニー・グリセットをフィーチュアした国際的顔ぶれのカルテットによるオリジナル曲集。

★張りとキレ加えて艶があってしなやかにうねり波を描くかのような生鮮トーンのトランペットが、キリッと背筋を伸ばして哀歓や詩的浪漫を鋭く活写してゆく感じの、陰影豊かなビタースウィート風味の精悍プレイを歯切れよく綴って、勇壮かつ中々ハードボイルドな華を成し、骨太い硬角質タッチでダークなソリッド・アクションをぶつけてくるピアノ以下、リズム陣のきっちりツボを心得つつ機略縦横さも充分な遊撃的サポートがまたグルーヴとスリルを的確に醸成して頼もしい魅力を放った、全編ワンホーン・ハード・バップの理想形とも云うべきダイナミック・スウィンギンな敏活快演が続いて、スカッと胸躍らせてくれる会心打内容。

★歌心とスイング感を何より大切にするも決して甘さに流されることなく、凛々しさの中に独特の翳りやニガみを多々含んだ極めてストレートアヘッドな現代流硬派バピッシュ奏演、がノリよくキビキビと展開してゆき、リズム・セクションの安定律動性と瞬発力あるいは奇襲力を併せ持ったアタッキングなバックアップにガッチリ支えられ、また上手く煽られる恰好で、プレッツェネーダー(tp,flh)の、潔く真っ向勝負に徹した王道バッパー然たる鋭敏でブルージーなアドリブ奮戦が、鮮度抜群の清々しい冴えを、キレを見せてゴキゲンだ。

→甘さ控えめの威厳ある面持ちで結構ハードなフリー・ブローイング調の爆裂咆哮をキメる、辺りはマイルスやハバードに通じる雄渾の趣があるが、反面、フリューゲルの活用を含めよりまろやかな風合いを強めて物憂き詩的ロマンティシズムを映し出す端麗プレイ、に顕れる折り目正しいエレガンスや薫り高さにはさすがヨーロピアン・ジェントルマンの本領がしっかり感じられたりと、基本はごくオーソドックスなメインストリーマー体質だが欧州人らしくきめの細かいオリジナリティある吹鳴キャラが揺るぎなく確立されていて、美味さ格別、説得力も十二分。

★一方グリセット(p)の、ある時は硬質でスクエアーな渋〜いバップ・イディオム・プレイを律儀げに繰り出し、ある時は熱情を孕んだモーダル・アグレッシヴな猛々しき疾駆攻勢をかけ、またある時はR&Bやゴスペルに接近したブルース色の濃いファンキー&アーシーな吟醸ソウルフル・グルーヴ節も粋にキメる、という表情豊かで何げにドラマティックな敢闘もバッチリ芳醇に光っている。

01. Tramp Signs (6:02)
02. Vienna Vibes (6:05)
03. Epicure Nr. 2 (5:31)
04. Star Traveller (6:34)
05. Mazzes-Island Groove (8:08)
06. Imperial Legacy (7:50)
07. Hipgold 26-5 (4:49)
08. In A Brownie Way (5:25)
09. Funeral March Revised (6:10)
10. On The Road With The Rhodes (5:08)

Simon Ploetzeneder (Simon Plötzeneder) (trumpet, flugelhorn, composition)
Danny Grissett (piano)
Danny Ziemann (double bass)
Jonatan Sarikoski (drums)

2023年作品

レーベル：ATS Records

在庫有り
紙ジャケット仕様CD