CATFISH RECORDS

★クリーヴランドを主たる拠点として半世紀以上に渡り活躍を続けてきた、その質実剛健にしてあくまで大衆娯楽的な芸風に確たる支持を集める正統派テナーサックスの逸材:アーニー・クリヴダ(1945年オハイオ州クリーヴランド生まれ)の、本盤は、トランペット、トロンボーン、ギター、ピアノ、ベース、ドラムとの企画セプテット;Swing Cityによる、1998年、2001年、2002年に録られた幾つかのセッション(一部ライヴ音源を含む)をまとめた一編。
★メンバーはセッション毎に多少の入れ代わりがある。小型ビッグ・バンドっぽい趣をも呈した、一種のアレンジ物的なカラフルで奥行き&重層性あるアンサンブルが爽やかに轟き、例によって豪快武骨でちょっと泥臭いクリヴダの朗々たるテナー・ブロウや、カラッと晴れやかなトランペット、温かくも陰影濃いトロンボーン、手堅くスクエアーにキビキビ立ち回るオールド・ファッションなピアノ、パンチと吟醸ソウルの利いたイキな女性ヴォーカル(1曲のみ)、らが快調なテンポで見せ場を分け合ってゆく、ノリノリにして余情豊かな会心打内容。
★モダン・スイング寄りの風合いも漂う、ひたすらメロディアスでスウィンギンな、「アクション型の寛ぎ指向」とも云うべき和気あいあいの明朗リリカル奏演、が楽しげに展開され、一貫してリキみなく開放感に富んだ、風通しもよさそうなおおらかムードの道程が続く中で、さりげなく精妙巧緻に整った端正なアンサンブルの、瀟洒で深みある魅力と、各人の簡潔でいてエッセンスがギュギュッと凝縮されたような含蓄あるソロの盛り上がり、とで清々しく昂揚させてくれる。
★クリヴダ(ts)の、ある時はコールマン・ホーキンス風にパンチを利かせて力強く咆哮し、ある時はベン・ウェブスター似のしみじみとしたヴィブラート技を披露、またある時はホンカーっぽくもある剛健ダイナミックな臭めの爆発的ブロウも炸裂させる、という、気力も充実しきったそのごく平易にして渋〜いコクを湛えた醸熟なる吹鳴のあり様は、文句なくおいしさ格別で、また、モダニズム溢れる凛としたトランペットや、おぼろかつ人肌感ある幽玄深きトロンボーン、らの活躍も際立ち、生鮮味の絶えない中々高密度な一級娯楽世界に仕上がっている。

1. Lime House Blues
2. Roses
3. Summer Time
4. On The Road
5. A Bright And Shining Moment
6. The Man I Love
7. In The Cool, Cool, Cool Of The Evening
8. Easter Blue
9. Caravan
10. Little Old Lady
11. Dream Of Life
12. Hangin' With The Hoosiers
13. The Mooche
14. The Nearness Of You
15. The Good Lady
16. Two Sleepy People

Ernie Krivda (tenor saxophone, all recordings)
Steve Enos (trumpet, all)
Gary Carney (trombone, 1998, 2002)
Chris Anderson (trombone, 2001)
Lee Bush (guitar, all)
Joe Hunter (piano, all)
Marion Hayden (bass, 1998, 2001)
Brian Thomas (bass, 2002)
Rick Porrello (drums, 1998)
John Bacon (drums, 2001)
Ray Porrello (drums, 2002)
Marshall Baxter Beckley (vocal on 3)

1998年,2001年,2002年録音(於Suma Recording, Tri-C Metro Campus)

レーベル：Capri

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デジパック仕様CD