CATFISH RECORDS

★ニューヨーク並びにフィラデルフィアのシーンで活躍し、過去OA2やPosi-Toneからリリースした諸作品に好評を集めていた、音楽教職者でもある正統派テナーサックスの逸材:Tom Tallitsch(1974年イリノイ州エルムハースト=Elmhurst生まれ)の、今回は、トランペット入りの2管クインテットによる、円熟味も増した王道作。
★息の合った2管アンサンブルが、勇ましくもあり、ちょっとけだるくレイジー・スモーキーでもあるアジな轟きを成した後、逞しい隆々さや骨太感とまろやかなソフトネスを絶妙に一体化させたトーンのテナーが、ある時は渋くて粋な吟醸的リラクゼーション節を、またある時は熱血で猛々しい激烈咆哮を紡いで、ブレなく確固と芯の据わった頼もしげな華を成し、鋭利敏活でいてマイルドなところもあるトランペットや、抑えを利かせてスクエアー&ソリッドに立ち働くピアノ、らの助演もそれぞれ表情豊かにおいしい彩りを添えた、壮快かつコク旨な会心打内容。
★硬派で雄々しく歌心もバッチリ備わった、真っ向勝負の活劇エンタテイメント指向な現代ハード・バップ熱演が溌剌と、抜群の生鮮度、抜群の精悍軒昂さで紡がれ、ツボを心得た堅実にして意表的スリルも適宜醸成するリズム陣のサポート、にガッチリ支えられながら、Tallitsch(ts)の中々ドカッと腰の据わった迷いなく揺るぎない威風堂々たる語り口の妙が、何げにしっかり味の濃い説得力満点の冴えを見せてゆく。
→エネルギッシュに突進するアツいアクション攻勢の圧倒的昂揚感もさることながら、今作ではどちらかと云うと、力は八分目で軽くスムースに流すような、燻し銀的哀愁仄めくダーク・デカダンかつ柔和めのリラックス・フレージングにこそ、傑出した本領(〜余情深さ)が揮われている感があり、それでいてトータルとしては「剛健武骨なタフガイ」らしい趣が失われることはない、というその確たる吹鳴のあり様は全く素敵だ。精緻端正で構成力バツグンなローレンス(tp)や、モーダルとファンキーの両極端を往来するデイヴィス(p)、らの奮戦も光る。

1. Wheelhouse 6:10
2. Schlep City 4:25
3. Outnumbered 6:00
4. Red Eye 5:15
5. Paulus Hook 6:00
6. River 5:31
7. The Crusher 4:31
8. One For Jonny 6:23
9. Gas Station Hot Dog 6:00

Tom Tallitsch (tenor saxophone)
Josh Lawrence (trumpet)
Jon Davis (piano)
Peter Brendler (bass)
Vinnie Sperrazza (drums)

2017年9月11日NYブルックリンのAcoustic Recording録音

レーベル：Posi-Tone

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