CATFISH RECORDS

★好調ぶりの続くベテラン:スティーヴ・キューン(1938年ニューヨーク州ブルックリン生まれ)の、レギュラー・トリオによる快打編。2004年2月NY録音。演目は有名既製曲中心に、キューンとベース者のオリジナルも1曲ずつ。

★重心の安定した硬く厚みのあるパーカッシヴなタッチでの、正統的バップ・イディオムを活用して明晰でカッチリとしたスインギー節を形作ってゆく、余裕と貫祿充分の名人芸が冴えた壮快内容である。スクエアーに引き締まった殺陣の型っぽい硬派フレーズと、エヴァンスにも底通する繊細な抒情性を宿した耽美的文体を、曲・場面に応じて自然に使い分けながら、トータル的によく均整のとれたビタースウィートな文脈に仕上げて見せる、その巧まざるナチュラルなストーリーテラーぶりはコク味満点で何とも素敵。

★細密で超フレキシブルな立ち働きを見せるb&dsのサポートも際立って、アップ・テンポの突撃疾走スイングからムード満点のスロー・バラードまで、テンポやリズム・パターンに多様な変化がつけられる中、バップ、ブルース、リリカルなロマンティシズム、といった情趣が比較的シンプル&ストレートにスッキリと表現された、非常に掴みやすく頼もしい、簡明にして深みのある旨口世界となっている。殊にバラードでの、内省的なきめ濃やかさと、シンプルな(エンタテイメント的)輪郭明瞭さ、を絶妙の均衡で並立させた語り口の、さりげない研ぎ澄まされ具合が◎。勇壮で柔和な、懐深い充実作。

1.スーパー・ジェット
2.懐かしのストックホルム
3.エミリー
4.エアジン
5.モーニング・デュー
6.ニュー・ヴァレー
7.ドリーム・ダンシング
8.いつも二人で
9.ビー・マイ・ラブ
10.イージー・トゥ・ラブ

Steve Kuhn(PIANO)
David Finck(BASS)
Billy Drummond(DRUMS)

2004年2月28日,29日 録音

在庫有り
W紙ジャケット仕様CD